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数ある盆栽樹種の中で何が一番好きかと問われれば「杉!」と私は答えます。
以前やっていたブログの過去ログでこんなものがあったので「閑話其物話」として
「つづきを読む」
に貼り付けておきます。
杉林だけで国土の12パーセントになるそうで、なじみ深い樹種でありながらスギはどうも盆栽としてはあまり人気がありませんね。人気薄の理由は樹形のバリエーションが少ない(直幹かせいぜい双幹、寄せ植えくらい)せいしょうか。しかし、威風堂々とした直幹円錐形のコケ順、根張りの良い太幹は私の憧れなのです。私の盆栽ライブラリー(ネット上にアップされた素敵な盆栽の中から特に厳選した樹種別お気に入り樹形を集めて整理したもの。所有の素材の木づくりのお手本にします。このライブラリーに所蔵されることを「殿堂入り」と勝手に呼んでいます。)ネット上でもスギ盆栽の画像はなかなか見つかりません。今のところスギの殿堂入りは一枚しかなく、私自身の盆栽で最も早く殿堂入りすることができるのはスギが一番かなと思ってています。しかし残念ながら、いまのところこの樹種も例にもれず、私の棚で盆栽の体裁を成している樹はなく、ヤキトリの串みたいな素材段階の苗木ばっかしです。最も手に入り易い木でなおかつシンプルな樹形でありながら意外と素質のある苗が見つかりません。しかも樹形のシンプルさゆえの培養の難しさがあります。盆栽マニュアルによれば樹づくりのポイントは「ひたすら真っ直ぐ、ひたすら芽摘み」としか書いてありません。手をかける余地の少ないのがこの樹の難しさではないでしょうか。」特に整枝はどうすればいいのか、私の能力の範囲を超えています。スギに詳しい人はいないかなあ。
杉は国内のいたるところに植林されています。(北海道を除く)樹木で、日本の貴重な森林資源です。花粉のいたずらから、多分、最も嫌われている木のNO1にランクされる木でもあります。「真っ直ぐ」という言葉が杉の語源だということからも分かるように、杉の木は天に向かって真っ直ぐ伸びています。建築材料に使うのだから真っ直ぐでなければならないのです。盆栽でも杉は、松や真拍のように針金を使ってくにゃくにゃと幹を曲げる、というようなこしゃくな仕立て方はしません。あくまでも真っ直ぐ、直幹仕立てが基本です。実は、この「真っ直ぐ」は人の手がかかっている、というのが今日の話です。

私が小学校高学年の頃だから、今から45年位前の話です。杉は植林されてからしばらくの期間、冬期間の雪の重みで倒伏するために、春になると「杉起こし」という作業をします。毎年春になるとこの杉起こし作業にじいちゃんから私は日曜日のたびにかりだされました。
しかし、これが、いやでいやでしょうがなかったのです。遊びたい盛りの年頃で、じいちゃんと2人で山に篭るというのはあまり魅力的な話ではありません。「一人仕事では大変だから、umeも手伝ってほしい」といわれると、不承不承いかにもいやいやと言った風情で「うん、わかったよー」と答えます。今なら車で簡単にに行くことができますが、当時、70過ぎの老人と小学生にはきつい急登の山道を腰に弁当をぶら下げて二人で歩きます。
その時もうすでに腰の曲がっていたじいちゃんは、歩くことが苦手で歩みが遅く、アベベ気取りでぐんぐん歩く私との距離は離れる一方です。あっという間にぶっち切りの独走態勢になります。現地へ早く着いて「寝転がってじいちゃんの到着を待つ」と言うのが私の作戦です。ところが、無茶なハイペースで歩いた私もいつの間にかスタミナ切れを起こし、ペースダウンします。そのうちあれほど開いていたじいちゃんとの距離はあっという間に詰まり、ついには追い抜かれます。じいちゃんの背中を見ながら私は「なんだこのじいちゃん、腰が曲がってヨタヨタしているのにどうしてオレより速いんだ!」と思いつつ、あとはもう,じいちゃんについていくのがやっとと言う状態です。私の作戦は失敗に終わり腰をおろし、「わかば」の煙をくゆらせながら私を揶揄するようにて「どうしたume、ばてたか?」と声をかけるじいちゃん。当時の私の短い人生の中では最大の屈辱でした。
現地へ着くと休む間もなくすぐに作業の開始です。「あっちを引っ張れ、こっちを引っ張れ」だのの声に従って、もっぱら引っ張り役が私の役割で、じいちゃんは縄を器用に男結びに結わえます。「早く終わらねーかな」といつまでもウジウジと往生際の悪い私は、ダラダラ、イヤイヤという態度で作業を手伝います。じいちゃんも私のその態度は十分に分かっていたはずですが、そのことはなにも指摘せず、休憩のたびに「悪いなume、せっかくの日曜日なのに」と言います。それでも、「そう思ったらこんな仕事オレに頼むなよ」と心の中で毒づくume少年にはかわいげがありません。
3,4日続いた作業も今日で終了という日に、じいちゃんはは私に「なあume、この木がでっかくなったら、お前が家を建てる時に使ってくれ。みんなお前のもんだ。梁にも柱にも使えるぞ。もうそん時には俺は死んでいるけどな」と、作業終了の満足感にひたった顔で言います。杉の木はじいちゃん自身はワリバシ一本作るわけでもな何の役にも立ちません。しかし、家を建てる時に」と言われても当時の私に実感が湧くはずもなく、「うん」とは答えたものの、気のない返事でした。じいちゃんにとってみれば孫かわいさの作業であったにもかかわらず、当の孫(つまり私)に不愉快な態度をされていたのですから、浮かばれません。今となれば「じいちゃん、悪かったなー」とも言えますがじいちゃんは今はもういない。

その杉の木は今、立派に生長しました。家を建てるには十分なほどに大きくなりました。ところが、先年私が家を建てるときこの杉の木は使いませんでした。木を切り出して製材する費用のほうが、外材を購入するより高くつくと言う理由からでした。ますますじいちゃんは浮かばれません。少しくらい高上がりであってもあの杉の木を切り出すべきだったと、今は後悔しています。大きくなったあの杉の木も今は杉起こしや間伐の必要もなくなり、日々わずかづつひっそりと成長ています。
いずれ、屋久島の杉のような大木になるのでしょうか。朽ちるまで材木としての役割はまっとうせず、光合成でCO2を吸収しながらわれわれに酸素を供給し続けるだけなのでしょうか?
今度じいちゃんにどこかで会った時、この樹のことを私はなんといえばいいのでしょうか。
「じいちゃん、あの杉の木、それなりに役に立っているよ」とでも言っておきましょうか。じいちゃんの杉杉ヒラタケ
じいちゃんと起こした杉の木と倒木に生えた今は毒キノコ扱いとなったスギヒラタケ


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テーマ : 草花
ジャンル : 趣味・実用

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立派な杉林になって!

お便りありがとうございます。私も長女が生まれた年に、200本の杉の木を植林しました。↓
http://kurosakih.exblog.jp/4531026/
今なら、もうしないでしょうが・・小さい頃の杉起こしは辛い作業ですよね。周りはゴールデンウィークで旅行に行った話ばかり、こちらはブユに刺されて手足はブツブツだらけ。
 今年は盆栽用にと、杉の小枝を挿し木して何本か根付いたので、植え替えが楽しみです。

杉起こし仲間!

kurosakihさん、コメントありがとうございます。もう半世紀近い大昔の出来事ですが今でも祖父とのやりとりを鮮明に思い出します。kurosakihさんも同じような体験をされていたのですね。.植林した200本、順調に育つといいですね。
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ume

Author:ume
新潟県上越市に住んでいます。午前中は農夫、午後からは勤め人。ときどき2,5号素焼き鉢のミニ盆栽もどきと戯れることもあり。

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